[孤島]
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映画版 『ライラの冒険 ― 黄金の羅針盤』
黄金の羅針盤〈上〉?ライラの冒険黄金の羅針盤〈上〉?ライラの冒険
(2003/10)
フィリップ プルマン

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「ライラの冒険」(原題:His Dark Materials)は、ウィキペディアでは「当初は児童小説として出されたものの、ジョン・ミルトンの『失楽園』にも題材をとった深い宗教的・哲学的内容が高く評価されており、大人の読者にも人気が高い。」となっていたけど、その宗教的・哲学的な片鱗はちっとも見えてこなかった。
また「グノーシス主義などの影響を受けたこの作品では、パラレルワールドで信仰されている神が、実はニセの神であったと描かれ、また物語の後半では神や天国への反乱が主要なモチーフとなる。」(WIRED VISION)ということらしいが、北米のカトリック連盟のボイコットもあって、宗教に対する直接の言及をトーンダウンさせた、ということらしい。
三部作の第1部なので、そのへんは2部3部で出てくるのかもしれないけど、少なくともこの映画は子ども向けに思えた。じっさい観客は子どもが多かったし。

それからこの映画では、情報を小出しにしているので、よくわからないところもあった。子どもは、ダストや支配原理であるマジステリアムというのを理解できたのだろうか。
ファンタジー小説を書こうとしてこの映画を見たのだけど、このパラレルワールドの世界観を読み取るには、原作を読まないとならないかもしれない。かなり壮大な構想をもった物語のようなので。

このライラの世界では、人はダイモンという動物の守護霊を持っている。それがなかなか魅力的だ。大人は性格が決まっているので同一の動物の種類だけど、子どもは絶えず変化するので、それに応じて動物が変わる。
ライラはパンというダイモンとコミュニケーションすることで、感情や情報を観客や読者に伝えることができる。

ライラはチャーミングだ。聡明で、そして勇敢だ。獰猛なタタール族の隊長にツバを吐くくらい。(笑) ライラの得意技は、嘘をつくこと、そして真理計(アレシオメーター)を読めること。

このパラレルワールドでは現実に実在する固有名詞があまり登場していないけど、タタール族というのは、あのタタールをイメージしたものなのだろうか。かってヨーロッパを席巻した、欧州人にはその固有名詞を聞くのもあおぞましい、あのモンゴル起源のタタール人。
で、この映画でもすっかり悪役になって、ライラや子どもたちを襲う。
でもこういう善悪の色分けは、何か嫌な感じがする。じっさい欧州人(西欧人)は、他の大陸の人に対してもっとひどいことをやったのに。

ところで、日本とヨーロッパの少女像の違いについて、中沢新一がジブリの『ゲドを読む』(「『ゲト戦記』の愉しみ方」)のなかで次のように言っている。
日本人にとってナウシカが、少女像のひとつの原型だと思います。ナウシカは風使いですね。風使いであるナウシカが、本当の力を得るためには、地下の王蟲が住む世界、そこは水の世界ですが、そこへ下降して古代の英知に触れてから、戻ってこなくてはなりませんでした。これが日本の少女像です。これに対して、ル=グウィンが描く少女像は、火です。テルーは竜の子ですが、竜というのは、火と風の合成体ですから、火を吹きながら風をあやつって天を守ります。これに対して日本の少女像は、風に乗って舞いながら水を求めるのですね。
ところでライラはどうだろうか。
ライラは気球(風)や船(水)にも乗るけど、動物(クマのイオレク)にも乗る。鍛冶屋でもあるイオレクは、火と何らかの関係があるのかもしれない。
それと、ヨーロッパでは、天空を動物たちがグルグルと回っているというイメージがあって、それがサーカスの起源だとされている。とすると、ライラは動物使いということになる。(日本でも「もののけ姫」で動物使いが登場していた。)
それに何よりもライラは羅針盤(アレシオメーター)使いだ。機械と神秘とが結びつけられたアレシオメーターで真理と知恵を得て、世界を変える。主人公は少女だけど、これはまさに男の作者の作った物語だ。
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テーマ:ライラの冒険 - ジャンル:映画

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