[孤島]
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テンポラリー猫飼い
猫寝てる猫

動物たちの世界は、沈黙と跳躍とからつくられる。私は彼らがねているのを見るのがすきだが、彼らはそうしながら自然との接触をとりもどし、そのように身をゆだねることとひきかえに、自然から一種の精気を受けて、みずからを養うのである。彼らの休息は、われわれの仕事とおなじほどに勤勉である。彼らの睡眠は、われわれの初恋とおなじほどにひたむきである。
 ―― ジャン・グルニエ 『孤島』 「猫のムールー」より

ひょんなことから猫を飼うことになった。
事情があって、いま実家に住んでいる。ひと月くらい前、道路を挟んだ斜向(はすむか)いの家のあたりで、よく「ニャーォ」と鳴いている猫の声が聞こえていた。平屋の小さい家で、猫を飼っているらしく、家の人は昼間出かけているので、たぶん猫を放し飼いにしてるのかもしれないと思った。家人が帰ってくるのを待っているか、もう帰ってきてしまい「戸を開けて!」と鳴いてるのかもしれないと。

そんなある日の夕暮れ、猫がいるので得意の猫語で「ニャーォ」と泣きまねをすると、猫も「ニャーォ」と鳴きかえし、こっちにやってきた。トラ猫だ。そして顔や体をスリスリする。こっちもとくに首の周りを撫でる。しばらく「猫とのふれあい(!?)」をやって、もう帰ろうとしたら、足元に纏わりついてなかなか離れなかった。

そうしてトラ猫を見かけたときは、撫でたり、残りものの鶏肉や水をやっていた。ある日、そこの家の人が仕事から帰ってきたので、その猫は飼っているのかどうか、尋ねることにした。
「この猫はウチの猫でなく、野良猫です。一ヶ月くらい前……だったかも、この近所に来たのは。うちでエサをやってます。野良でも生きていけると思うので」との答え。なるほど、そういうことでしたか、と納得した。
また家人は「飼われていた猫だと思う。迷子になったのか、それとも捨てられたのか……」と言った。
私もそれは感じていた。それにその猫は、抱きかかえることができるのだ。いつまでも纏わりつくので、抱きかかえて、斜向いの家まで連れて行く。すると猫は、抱き具合が悪いのか、それとも”もう、おしまい”ということを理解したのか、自分から降りる。ふつう根っからの野良猫だと、抱かれるのを嫌がるはずだ。

それにしても、猫がこっちの厳しい冬を野良でやっていくのは、とてもしんどい。それでちょっと図々しく、「家で飼うというのは、どうですか?」と尋ねてみた。すると、「う~ん、いま家には猫が二匹いて、ちょっと飼うことはできないです」という返事だった。逆に、「お宅で飼われたら?」と聞かれてしまった。
私としては飼いたいと思うけど、いろいろと障害があるのだ。なんせ居候の身なので、あまり勝手なことはできない。それに母はあまり猫が好きじゃない。極端にきれい好きな母は、猫が部屋をきたなくしたりするのを恐れているのだ。

でもこのままだと、もしかして死んでしまうかもしれない。だいぶ昔、冬に子犬を助けることができなかったという記憶もあった。近所をさまよってる子犬で、保護しようとしたときはすでに死んでいた。交通事故だった。
それで、私の部屋でもいいから、とりあえず飼おうと思った。そのことを、近所に住んでいる妹に相談した。彼女の返答は、もし母が嫌がっているなら飼うのはやめた方がいい、というものだった。でも私が本気で飼おうとしてるようなので、別の案を提示した。彼女は大学職員なので、学生で猫を飼いたいという人が必ずいるはずだから、飼い主を見つける、ということだった。 サンキュー!

でも考えてみたら、それはいつのことか分からない。春がきて飼い主が見つかっても、遅いかもしれないのだ。それと、たぶん彼女は、私と母との間でぎくしゃくした関係になるのを避けたい、という思惑もあったのかもしれない。
日ごとに寒さは厳しくなっている。飼い主が見つかるまで余裕はないと思った。それで母に、とりあえず飼い主が決まるまで飼っていいかと聞いた。母は、冬に野良猫がよく死んでいるということを人から聞いたり、また斜向いの家に行って猫の話を聞いたりして、猫を飼うことに興味をもったようだ。それで、とりあえず飼い主が決まるまでの間、飼うことになった。

ということで、斜向いの家の人にも了解をとって(喜んでた)、拉致決行。
トラ猫を家に招き入れる。しばらくドアのところで、「ニャーォ」(翻訳すると「こんな知らない所は嫌だ、表に出して!」)と泣いて(鳴いて)いた。
その夜、猫は暖房つきの居間で寝たが、朝の4時ころ隣の母の部屋に向かって「ニャーォ、ニャーォ、……」(翻訳すると「さびしいよ~」)と鳴くので、母は寝不足だったようだ。
それで次の日、こんどは私の部屋で眠ることにした。ベッドから50cmくらい離れたテレビ台が寝床。
夜、どうやらひとりで眠ったようだ。 ……とおもったら、7時ちょっと前(私は8時半に起きる予定だった)、猫が私の枕元にきて、耳を舐めたり、頭の上を跨いだりして、起こされたのだった。最初は「えっ、何事!?」とびっくりした。こっちはもう少し寝ていたい。それで、もしかして一緒に寝たいのかと思って、布団のなかに入れたけど、どうもそうでないようだ。要するに、朝ごはんの催促だった。
それからは、また居間が寝床。今はソファーの上の、ダンボールをくり抜いたベッドで寝ている。猫も数日過ごして不安が和らいだのか、あまり「ニャーォ」と鳴かなくなった。

トイレはきちんとやっている。♀で、お行儀がよく、賢い。やっぱり飼い猫だ。ねこじゃらしは、最初は興味をもっていたけど、すぐ飽きて、今は反応なし。それにしても、よく寝る。
食卓や書き物するテーブルのある椅子では、人の膝の上に乗らないということを憶えた。でもソファーや安楽椅子では、呼べばやってくるし、呼ばなくてもちょっと躊躇しながら膝に乗ってくる。そこで撫でられながら至福のひと時を過ごす。「沈黙と跳躍」のほかに、愛撫という要素もあるようだ。

ということで、このトラ猫はそれなりに年なのではないかと思った。以前そのトラ猫は私の家の前で偶然シャム猫と遭遇したことがあり、そのシャム猫は自分より一~二回り大きくてびっくりして逃げたのだけど、私はその時のシャム猫との比較から「きっとこのトラ猫は、まだ伸び盛りの若い猫に違いない」と思ったのでした。でもそれは勘違いだったかも。もしかして、年なので捨てられたのかもしれない。

猫が家にきてから、一週間が過ぎた。母は ”ミミ”という名前をつけて可愛がっている。トイレの後始末などは私の役目だけど。

コメント
この記事へのコメント
昨日はどうも 年賀状はほんとに素晴らしい出来で自作とは 恐れ入りました

こんど あと会で飲んで色々話しましょう
よければ 面白い本 貸しますよ

2007/01/24(水) 17:53:52 | URL | 小太郎 #-[ 編集]
書き込みありがとうございます
今晩帰ってきて、いまネットを開けたところです。

この前お勧めだった、梨木香歩の『りかさん』を買ってきたのですが、まだ読んでません。けっこう積読が山のように。
こんどは出れるかも。そのときに、いろいろと本のことなどを話ましょう。

ところで、飲み会で、私の酷評に対して「また生意気なこと言ってる」とか言われてなかったですか? 全然心配じゃないけど。
次の作品も血祭り!かも。(笑)
2007/01/24(水) 23:48:29 | URL | Spirit of Beehive #wYAyu/Y2[ 編集]
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