[孤島]
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白リン弾 ― ガザ
TIMES ONLINE (From The Times :January 21, 2009)
Israel 'admits' using white phosphorus munitions
イスラエル、白リン弾を使ったことを認める

http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/middle_east/article5556027.ece
The Times first accused Israeli forces of using white phosphorus on January 5, but the IDF has denied the charge repeatedly. Phosphorus bombs can be used to create smoke screens, but their use as weapons of war in civilian areas is banned by the Geneva Conventions.

意訳すると、「イスラエル当局は白リン弾の使用を否定していたけど、ほら見ろ、1月5日に我々(THE TIMES)が白リン弾の告発をした通りじゃないか?!」

その1月5日の記事がこれ↓。

TIMES ONLINE (From The Times : January 5, 2008 (*1))
Israel rains fire on Gaza with phosphorus shells
イスラエル、ガザに白リン弾を雨のように降らす

http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/middle_east/article5447590.ece
1980年のジュネーブ条約では、民間人のいる地域に白リン弾を兵器として使ってはならないという取り決めが明記されたが、全面禁止ではなく、煙幕や照明弾として使われる限りこの国際法の下にはないとされる。しかしながら、イギリスの軍事専門家で陸軍の元少佐だったチャールズ・ヘイマンは次のように言う。 「もし白リン弾を故意に群衆に向かって爆発させたら、責任者はハーグの国連戦争犯罪法廷行きになるだろう。白リン弾は恐ろしい武器です。空から降ってきた白リンの塊に皮膚が触れると、焼け焦げます。」

The Geneva Treaty of 1980 stipulates that white phosphorus should not be used as a weapon of war in civilian areas, but there is no blanket ban under international law on its use as a smokescreen or for illumination. However, Charles Heyman, a military expert and former major in the British Army, said: “If white phosphorus was deliberately fired at a crowd of people someone would end up in The Hague. White phosphorus is also a terror weapon. The descending blobs of phosphorus will burn when in contact with skin.”


(いま問題になっているらしい)ウィキペディア―「白燐弾」の項目では、1980のジュネーブ条約のことは書かれていない。それどころか、「現在、白燐弾を公式に制限する条約は存在しない」と断定しているのは、あえてやったミスリードか、それとも単にその辺の知識がなかったのか分からないけど、なんだかねぇ~~。
ちなみに英語版のWikipedia ― White phosphorus (weapon)[白リン弾]では、その使用が1980年に特定通常兵器使用条約の議定書III(焼夷性兵器)で制限されている、との記述がある。
いっそ、日本語ウィキペディアの「白燐弾」は、英語版をそのまま翻訳して移植したほうがいいのではないだろうか。


phosp1pal3.jpg


白リン弾(黄燐弾)がどれほど危険な兵器かは、第二次大戦の記録からも分かる。
左の写真は、ラバウルでB-25が12.7cm高射砲陣地に黄燐弾を投下したもの。
右の写真は、その一部分を拡大したもの。
B-25のラバウル攻撃では黄燐弾を航空機の上で爆発するものがあったけど、この写真の黄燐弾は明らかに将兵を狙ったものと思われる。
rabaul
  この写真のソース→ここ      左の写真を拡大したもの→ここ

下の写真は、ラバウルの7.5cm高射砲陣地を低空で襲うB-25。
本当は高射砲陣地の上で黄燐弾が爆発する写真があるはずだけど、ネットでは見つからなかった。このB-25爆撃で、黄燐を浴びて死んだ将兵が大勢いたそうだ。
rabaul
  この写真のソース→ここ

また、大岡昇平の『レイテ戦記』によると、米軍は迫撃砲を使った黄燐弾散布を行い、タコ壺にいた第一師団の兵士が降ってくる黄燐によってやられた、という記述があった。
(追記:1/27) ここ(「FWF -フットボールは未来の兵器である」)に、大岡昇平『レイテ戦記』の黄燐弾についての記述があります。

白リン弾(黄燐弾)の人への被害をどう見積もるかは、バイアスの入ってない知識量と、それから想像力の有無にも帰着するのだろう。
白リン弾の人体に対する影響に関しては、ここ("kom’s log")が詳しいです。


それにしても今回のガザ虐殺は惨すぎる。市民に対する白リン弾攻撃もそうだけど、それ以上に爆撃や砲撃で死者1300人以上、負傷者5000人というのは異常だ。
国際社会は、この落とし前をどうつけるのだろうか。きっちりとイスラエルの戦争犯罪を追求してほしい。
潘基文国連事務総長もすっかりナメられたみたいだ。やっぱり北欧系の事務総長、例えばノーベル平和賞を受賞したアハティサーリ前フィンランド大統領のような人物が出てこないとダメなのかもしれない。


追記(1/27):「白燐弾はどういう兵器か」については、ここ(「模型とキャラ弁の日記」)が詳しいです。
白燐弾は高高度で爆発するように撃てば落下するまでの間に殆どの燐片が燃え尽き概ね煙幕弾としてしか機能しませんが、低高度で爆発するように撃てば防御困難な燃える燐片を地上にばら撒く焼夷弾となるわけです。」 (「模型とキャラ弁の日記」
だからラバウルを襲ったB-25は、低空でやって来たのだ。
でも低空で白リン弾を煙幕として使うこともあるので、要するに使用の用途と場所が問題なのだ。何もない草原みたいなところで白リン弾を爆発するのはいいけど、都市の民間人のいるところでばら撒くのはどう考えてみても人道的にマズイでしょう。それは当然、戦争犯罪になる。国際人道法・カムズ・ファースト、なのだ。
だから、富士総合火力演習の90式戦車から打ち出した白リン弾(煙幕)を取り上げて、白リン弾は安全だとか主張してる人は、頭がどうかしている。もし白リン弾が見物人の頭上で爆発して何ともなかったというなら分かるけど、見物人は数百m離れた安全なところにいてただ眺めていたのだから (風向きで煙たかったかもしれないけど)、何をかいわんや だ。

ということで、やっぱり最初のTIMES(1/5)の記事がすべてを物語っている。


*1:記事のタイムスタンプはJanuary 5 2008となっているけど、2009の間違い。
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